タネツケバナ倍数体新種が親種のいいとこ取りで生き延びたことを遺伝子パターンより示唆する共著論文を発表しました

代表取締役社長・瀬々 潤が共著の論文「A recently formed triploid Cardamine insueta inherits leaf vivipary and submergence tolerance traits of parents」が、2020年8月18日公開の国際学術雑誌「Frontiers in Genetics」オンライン版に掲載されました。本研究は、横浜市立大学木原生物学研究所・清水健太郎 客員教授(チューリッヒ大学 教授兼任)、農研機構・孫建強 主任研究員らとの研究グループと、東京大学およびドイツの研究機関「Max Planck Institute for Plant Breeding Research」との共同研究成果となります。

このタネツケバナ新種の持つ倍数体は、スイスアルプスのウルナーボーデン村で行われた森林伐採と牧草地への土地転用の影響により、二倍体である親種の生息域が重なることで発生した自然交雑によって誕生しました。
新種は三倍体であり、水際に生息する父親と比較的乾燥した場所を好む母親の中間的な生息地に広く分布しています。三倍体は、有性生殖がほとんど望めない性質を持ちますが、珍しいタイプのクローン繁殖と、親種の中間的な水分環境に適応することで、これまでの150年間を生き延びてきました。さらに他の近縁種との交配により、五倍体、六倍体というさらに高次な倍数性を持つ新種の誕生にも貢献したことがわかっていました。

今回の研究により、この三倍体は、親種からそれぞれ受け継いだ遺伝子セットを上手くコントロールすることで、クローン繁殖と水分環境への適応を可能にしていることがわかりました。倍数化による新種誕生と、それを可能にする新たな遺伝子発現パターンの解明は、進化を知る上で非常に重要視されています。この論文で使われた手法は、今後の進化に関する研究の進展にも大きく貢献すると期待されます。

なお、本論文のフルバージョンは近日中に公開予定です。

発表論文

Jianqiang Sun, Rie Shimizu-Inatsugi, Hugo Hofhuis, Kentaro Shimizu, Angela Hay, Kentaro K. Shimizu and Jun Sese; A recently formed triploid Cardamine insueta inherits leaf vivipary and submergence tolerance traits of parents, Frontiers in Genetics, doi: 10.3389/fgene.2020.567262

関連サイト

スイスアルプスの谷間の村で20世紀に誕生したタネツケバナ倍数体新種は、親種のいいとこ取りで生き延びたことを遺伝子発現パターンから示唆 (瀬々班)|研究経過|植物新種誕生原理|平成28年度文部科学省科学研究費補助金 新学術領域研究

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