小鳥の種によって歌が異なる原因に関わる遺伝子群についての共著論文を発表しました

代表取締役社長・瀬々 潤が共著の論文「Transcriptional regulatory divergence underpinning species-specific learned vocalization in songbirds」が、2019年11月14日公開の国際学術雑誌「PLoS Biology」オンライン版に掲載されました。本研究は、北海道大学大学院理学研究院・和多和宏准教授らとの共同研究成果となります。

小鳥は、他の個体の発声パターンと、生まれながらにもつ遺伝情報の影響を受けて、種によって特異的な歌を歌うようになります。しかし、種が分化する過程でどのような遺伝情報の変異が蓄積し、種が異なる場合は異なる歌を歌うようになった理由はわかっていません。これは、小鳥の歌に限らず「動物の行動がどのように進化してきたのか?」という現在の生物学研究の大きな問題の一つです。

この問題に対して本研究グループは、近縁種でさえずりパターンが大きく異なるキンカチョウ・カノコスズメとその雑種ハイブリッド個体を用い、近縁種2種間での「遺伝子の読み出されている量」とF1ハイブリッド個体での「遺伝子座の読み出し比」の2つの情報から、遺伝子読み出しに関わる変異の有無について測定を行いました。

その結果、近縁種であるキンカチョウとカノコスズメの間であっても、さえずり発声に大きな影響を及ぼす脳部位(歌神経核)にある約10%の遺伝子(約800個)に、読み出しに関わる変化が起こり、あわせて、読み出し方が異なる遺伝子群の多くは、神経回路形成・変化に関わる機能を担っていることがわかりました。また、この2種のさえずりパターンに影響を与える遺伝子の読み出し調節に、脳由来神経栄養因子として知られるBDNFが関わることがわかりました。

これらの結果により、今回得られたような包括的な情報を用いて、細胞内シグナルや遺伝子発現制御からの影響予測を行うことが可能となりました。この手法は異種間ハイブリッド個体を作り出せる生物種全般に対して適用可能です。

さらに、異種間のほか、同種内においても個体間でのゲノム配列に違いがあることも判明しており、今回の成果は動物種によって異なる行動の進化について明らかにする研究の第一歩として貢献できると考えられます。

発表論文

Hongdi Wang, Azusa Sawai, Noriyuki Toji, Rintaro Sugioka, Yukino Shibata, Yuika Suzuki, Yu Ji, Shin Hayase, Satoru Akama, Jun Sese, Kazuhiro Wada; Transcriptional regulatory divergence underpinning species-specific learned vocalization in songbirds, PLoS Biology, 2019 Nov 13;17(11):e3000476, https://doi.org/10.1371/journal.pbio.3000476

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