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覚せい剤使用者の生理・心理応答における個人差探索に関する共同論文発表のお知らせ

当社代表の瀬々が携わった共著論文「Individual variability in physiological responses and psychological conditions associated with methamphetamine use: Pilot study using wearable device and self-monitoring mobile application」が、2026年3月2日公開の国際学術雑誌「JMIR Formative Research」に掲載されました。

この論文は、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 高野 歩先生、松本 俊彦先生らとの共同成果となります。

この研究では、覚せい剤使用障害のある患者の実生活をウェアラブルデバイス(Fitbit)とモバイルアプリを用いて、生理的反応(心拍数・睡眠状態等)と心理状態(欲求・感情等)の個人差の詳細について調査しました。

研究の背景と目的

物質使用障害、特に覚せい剤の使用による障害は、深刻な健康・社会問題となっています。
本研究で取り上げたスマートフォンアプリやウェアラブルデバイスを活用したデジタルメンタルヘルスは、心理状態や生理指標を継続的・非侵襲的に把握するための手法として注目されています。従来の面接や質問紙調査と比べて、リアルタイム性と個別性に優れており、症状の早期検知や再発予防手法への応用が期待されています。

一方で、デジタルメンタルヘルスは近年発達した手法であり、疾患や個人差に応じた研究実績はまだ多く行われていません。「誰に・どの指標が・どこまで有効か」に関する検証結果はあまり存在せず、特に覚せい剤使用に対する生理的反応と心理状態の個人差に関する情報は限定されています。

そこで本研究では、覚せい剤使用に伴う生理的・心理的反応の多様性を可視化し、個別化された介入や再発予防戦略の基盤となる知見を得るため、従来のスポット評価では捉えきれなかった、覚せい剤使用に伴う渇望感などの感情と、心拍数などの生理的反応の時間的変化と個人差に着目した観察調査を実施しました。

その結果、物質使用に伴う心理的・生理的反応は、使用の有無だけでなく、使用状況や個人によって大きく異なることが明らかになりました。

使用日は欲求やネガティブな感情が強く、睡眠への悪影響が見られました。また、心拍数は使用後に有意に上昇し、その影響が一定時間持続する傾向が見られたものの、その変動の多くは個人差に起因しました。このことから、覚せい剤使用の影響を理解するには「平均的な反応」ではなく、個人ごとの時間的変化を捉える視点が重要であることが示唆されました。

今後の展望

物質使用後の心拍数や感情状態には個人差が大きいという調査結果は、患者ひとりひとりに個別化された再発予防手法の開発が重要であることを示唆しています。リアルタイムに確認できる自己モニタリングや、心拍数上昇時の通知機能、オンライン認知行動療法などを、治療介入の個別化手段として取り入れることで、覚せい剤使用障害を持つ患者の健康状態の改善が期待されます。

当社は今後も、生命科学・医療分野におけるデジタルヘルス技術とデータ解析技術の研究開発を通じて、科学の発展と社会課題の解決に貢献してまいります。

発表論文

Ayumi Takano, Kayo Okuda, Jun Sese, Koki Ono, Toshihiko Matsumoto; Individual variability in physiological responses and psychological conditions associated with methamphetamine use: Pilot study using wearable device and self-monitoring mobile application, JMIR Formative Research 2026;10:e73790 doi:10.2196/73790

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