膠芽腫の抗がん剤の効果と遺伝子のメチル化の相関を解析した共著論文を発表しました

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代表取締役社長・瀬々 潤とエンジニア・Calvin Daveyの共著論文「Volumetric Analysis of Glioblastoma for Determining Which CpG Sites Should Be Tested by Pyrosequencing to Predict Temozolomide Efficacy」が、2022年9月26日公開の国際学術雑誌「Biomolecules」に掲載されました。本研究は、国立研究開発法人 国立がん研究センター・脳脊髄腫瘍科 細谷 朋央先生、高橋 雅道先生、成田 善孝先生らの研究グループとの共同成果となります。

悪性の脳腫瘍の1つである神経膠腫の治療では、腫瘍を摘出する外科治療が行われます。しかし、周囲に浸潤しながら病変が広がることと、手術の際は可能な限り脳機能を温存する必要があることが影響し、手術のみでの根治が難しく、治療成績の改善は脳神経外科における大きな課題となっています。

テモゾロミドは膠芽腫を含む悪性神経膠腫などの治療時に使われる経口の抗がん剤です。悪性神経膠腫の標準治療では、手術で腫瘍を摘出する外科療法のあと、残った腫瘍に対して放射線治療とテモゾロミドを用いた化学療法が並行して実施されています。

しかしながら、テモゾロミドの治療効果は人によって差異があります。この差異にはMGMT遺伝子のプロモーターのメチル化(遺伝子発現を調節する仕組みのひとつ)が関連すると考えられています。これは、メチル化によりMGMTの発現が低下し、テモゾロミドの効果が相対的に高くなる可能性があるためです。このため、MGMTプロモーターのメチル化状態の測定は、治療効果や予後予測の評価に役立つと考えられます。

本研究は、上記の標準治療を行い、かつ術後に残った腫瘍体積がMRI画像上で測定可能である膠芽腫に罹患した患者さんを対象に、テモゾロミドを用いた治療前と治療後で残存した腫瘍の体積比と、MGMTプロモーターの一部(CpG74-89)に属するDNA配列のメチル化状態の相関について解析することで、テモゾロミドによる治療効果の検証を行いました。

結果、プロモーター領域内のエクソン1にある CpG74-82 のメチル化状態がテモゾロミドの有効性ともっとも強く関連していることがわかりました。今後は、これらの部位のメチル化状態を調査することで、テモゾロミドの効果がどの程度期待できるか?を従来よりも的確に予測できるようになると考えられます。

発表論文

Tomohiro Hosoya, Masamichi Takahashi, Calvin Davey, Jun Sese, Mai Honda-Kitahara, Yasuji Miyakita, Makoto Ohno, Shunsuke Yanagisawa, Takaki Omura, Daisuke Kawauchi, Yukie Ozeki, Miyu Kikuchi, Tomoyuki Nakano, Akihiko Yoshida, Hiroshi Igaki, Yuko Matsushita, Koichi Ichimura, Yoshitaka Narita; Volumetric Analysis of Glioblastoma for Determining Which CpG Sites Should Be Tested by Pyrosequencing to Predict Temozolomide Efficacy, Biomolecules 2022, 12(10); https://doi.org/10.3390/biom12101379

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